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ライタープロフィール

 
本橋信宏

本橋信宏

モトハシノブヒロ


 

1956年4月4日、埼玉県所沢市生まれ。
作家。実家から徒歩10分ほどで「となりのトトロ」のモデルになった狭山丘陵・八国山が横たわる。現在、都内暮らし。執筆内容はノンフィクション・小説・エッセイ・評論。
埼玉県立川越高校・早稲田大学政治経済学部卒。半生を振り返り、バブル焼け跡派と自称する。

著書
「裏本時代」「AV時代」(幻冬舎アウトロー文庫)
「心を開かせる技術」(幻冬舎新書)
「やってみたらこうだった!」(宝島SUGOI文庫)
「人妻は告白する」(ぶんか社文庫)
「『洗脳』プロファイリング」(苫米地英人博士と共著・宝島社)
「60年代 郷愁の東京」(主婦の友社)
「新AV時代 悩ましき人々の群れ」(文藝春秋)
「なぜ人妻はそそるのか ? よろめきの現代史」(メディアファクトリー新書)
最新刊に「やってみたら、こうだった<あの人の童貞喪失>編」(宝島SUGOI文庫) 等。

本橋信宏 Official Website

 
バックナンバー

▶2012-05-15『All Those Years Ago』
vol.6 散歩で想う・・・・拉致・帝銀事件・神田川

▶2012-04-16『All Those Years Ago』
vol.5 誌面から聞こえる美女の悲鳴

▶2012-03-15『All Those Years Ago』
vol.4 1977年の青年と監督をめぐる幸福な再会

▶2012-02-20『All Those Years Ago』
vol.3 島崎雪子・筑波久子・・・・妖艶な女優たちが甦る

▶2012-01-17『All Those Years Ago』
vol.2 本棚を掘り起こせば、ほろ苦い・・・・・

▶2011-12-15『All Those Years Ago』
vol.1 ーー話し言葉にも時代がある。星降る街角から、AV黎明期、ぎんざNOWまで。

▶2011-11-21『新・AV時代』
第17回 駆け出し記者時代ーー白いスカートを汚してしまった女子大生と、風俗店でキスがNGだったころーー昔はよかった、なんて誰にも言えない

▶2011-10-13『新・AV時代』
第16回 自室で手料理をふるまう女子、自室で失神したおばあさんーーもうひとつの映像進化論

▶2011-09-12『新・AV時代』
第15回 林由美香をめぐる死の断章

▶2011-08-16『新・AV時代』
第14回 個性ある男優たちよ、何処へ

▶2011-07-12『新・AV時代』
第13回 人妻ブームと大女優の蹉跌

▶2011-06-20『新・AV時代』
第12回 AVの新発明は失敗から生まれた

▶2011-05-16『新・AV時代』
第11回 監督たちに学ぶ人生を生き抜く話法

▶2011-04-11『新・AV時代』
第10回 原発危機を予言したAV

▶2011-03-17『新・AV時代』
第9回 飯島愛

▶2011-02-17『新・AV時代』
第8回 私服のAV女優とヨヨチュウ撮影現場で思うこと

▶2011-01-11『新・AV時代』
第7話 四十路になったあの美少女たちは

▶2010-12-13『新・AV時代』
第6話 人妻たちの記憶に残る憎い男

▶2010-11-08『新・AV時代』
第5話 あるAV女優の消失

▶2010-10-11『新・AV時代』
第4話 目撃証言とAVインタビュー

▶2010-09-06『新・AV時代』
第3話 AVにノックアウトされた男

▶2010-08-22『新・AV時代』
第2回 AVという名称が誕生した瞬間

▶2010-07-01『新・AV時代』
第1回 悩ましき人々の群れ

 

COLUMN TITLE 投稿日:2012-01-17

All Those Years Ago

vol.2 本棚を掘り起こせば、ほろ苦い・・・・・

 書棚を掘り起こしたら、懐かしい本がいくつも出てきた。

 私のホームページには、自著がアップされているが、処女作は1981年4月に出た「ザ・キャンパス」という本であった。
 この本は古い時代のものなのでアップしていないのだが、ま、私にとっては懐かしくも、ほろ苦い一冊だ。版元はミリオン出版社。「ナックルズ」「実話裏歴史」を出しているあのミリオン出版とはまったく別。湯島にある小さな出版社だった。
 私がまだ大学生のころ、ここから出ている「高校生傷だらけの青春」といった単行本を読み、手記を送ったら、編集長と懇意になった。私がフリーランスの物書きをはじめた24歳のときに、うちで書かないかと、言われて書き下ろしたのが「ザ・キャンパス」であった。
 1980〜81年当時、”THE”とつくのがブームになっていたころだ。中味は80年代の主流となった軽薄なコラム集だ。
「学園祭は年に一度のナンパのチャンス」と称した項目ではーー
「プロポーズ大作戦」「ラブ・アタック!」「パンチDEデート」ーー有名テレビ番組を完璧に模したダシモノで女を釣ること。
 といった安直なことを書いている。
 キャンパスを闊歩する面白人間たちーーという項目では、早稲田大学万歳同盟の創始者、島田政男を紹介している。もともと私の友人であったのだが、本の取材のために島田政男と会ったときは、就職試験にどこもひっかからず、しょげているときだった。万歳にはいろんな種類があり、本来なら喜びの万歳をしてもらうはずだったが、いじけの万歳をするしかなかった。
 ところが、最後に残ったNHKアナウンサー試験に奇跡的に合格、歓喜の万歳となった。現在、島田政男はNHKアナウンサーとしてラジオ「昭和歌謡ショー」の司会を務めている。

 この他にも、「ツケのきく食堂をもとう」とか(1980年当時、まだ早稲田界隈にはツケがきく定食屋がいくつかあった)、省マネーライフスタイルの勧め、と称して、サツマイモを常食し、整髪料はつかわず、椿油を用い、デート前には生協の試供品コロンをつける、倹約者を紹介している。 
 彼は私の学部の先輩で、日本拳法の高段者であった。要するにおしゃれという概念がまったくない体育会系の先輩だったのだが、いまから見たら、サツマイモを常食するのはヘルシー志向だし、椿油もエコ商品として重宝がられているので、先輩は先走ったエコライフを実践していたことになる。この先輩、電通に入った。

 たわいもない処女作だったが、この本、実はよく売れた。大学生協の書店売り上げでは、一時期黒柳徹子の大ベストセラー「窓際のトットちゃん」を抜いて1位をキープしたときもあった。
 これに味をしめた出版社は第2弾「キャンパスの悪女たち」というタイトルで私の尻をたたき書かせた。
 1982年、女子大生がアルバイトでホステスになるのが週刊誌特集になる時代にこの本は出された。高値の花だった女子大生が実は遊び好きで、軽い存在なのだ、ということを体験的に綴ったものだった。

 イラストは、仕事が無くて暇を持てあましていた漫画家の成田アキラ氏。テレクラ漫画を大ヒットさせる10年以上前のこと、売れない漫画家で不遇をかこっていた。たしかこのイラストも1点につき数千円という値段だった。成田さんのイラストはいまと比べると画風としてまだ未完成だった。
 成田さんとはこのころよく女子大の学園祭取材に行ったり、イベントに顔を出したものだ。お互い仕事がたいして無いので、伊豆七島で催されたマリンピックと称する海の競技大会に泊まりがけで取材に行ったりもした。たまたま船で同室となったのが、畑山ハッチ、後のやくみつる氏で、島についてからもずっと不機嫌そうだったのが印象に残っている。
 キャンパスシリーズは、83年に読者からの相談をまとめた「キャンパスバラ色講座」で完結となった。

※   ※   ※

 同時期、私は世間を騒がせていた残酷取り立て王、借金返さにゃ腎臓売れ、と咆哮していた、杉山軍団の総帥・杉山治夫会長を直撃取材、以後、苛烈な対決をする。

 まだサラ金規制法が施行される前、杉山会長は過酷な取り立てをしてきた。「貴宅訪問のお知らせ!」「給料差し押さえ予告」といった毒々しい赤文字のチラシを債務者宅に貼り付ける。居留守を使う債務者宅には、「おめでとうございます。あなた様は現金1620円の受領者と決まりました」といった奇妙な日本運命学協会なる手紙が舞い込む。10円でも現金が欲しい債務者は、喜び勇んで返信用葉書に氏名、住所、連絡先を書き込んで返信する。なにしろ裏面には、「ダブルプレゼントである。現金100万円の当たる申込書」が印刷されているのだから。
 返信してから数日後。
 日本運命学協会の男たちがやってくる。
 彼らのもうひとつの肩書きは、回収をおこなう杉山軍団!
 こんなコントみたいなやり方をする杉山会長に私は深い関心を持った。杉山会長が債務者宅を訪れたとき、債務者の妻がいると、ハンカチをプレゼントするのだ。
「いやあ、奥さん、美しい。ご主人は?」
「いません!」
「残念や。だったら奥さんにプレゼントや」
 四十八手の体位がプリントされたハンカチがプレゼントされる。
「やめてください!」
「いやあ、怒った顔も美しい。これなら十分、吉原でも働けますよ」
 ひきつる人妻。
 と、まあこんな具合に取り立てするんだが、いまではもちろんこんな取り立てはできない。
 杉山会長自身がマスコミに顔を出し、レポーターの質問に怒ると、アタッシュケースから札束をとりだして宙に巻くことで、物議をかもした。

 後に、杉山会長は、金満家教会なる団体を設立、「これからはみんなが幸福になるんや。わしだけやない、みんな幸せや、ウワーッハッハッハッハッハッハッハ!」と、ここでも札束を見せびらかす。
 残酷取り立て王と言われながら、みんな幸せになるんや、と歌い上げる。杉山会長にかかると、紙幣の物神性は吹き飛んでしまい、なんだか悩むことがバカらしくさえ感じてしまうのだった。
 杉山会長と私の対決は、杉山会長の著作物で連綿とおこなわれた。表紙には札束をつかんではしゃぐ杉山会長・・・・。

※   ※   ※

 

「全学連研究」(青年書館)は、1985年春に出した。
 日本資本主義論争史を本来はやりたかったが、戦後日本の革命闘争史を軸に描いてみようと、全学連に対象を絞った。
 巻末には、中核派系全学連委員長の単独インタビューを載せた。
 中核派最高幹部が出てくるとは予想もしなかったが、飛び込みでなんでもやってみると、時折、思ってもみないことが起きるものだ。

 中核・革マルの内ゲバは多数の死傷者を出し、ある種アンタッチャブル化していた。中核派の拠点前進社で、革マル派との内ゲバ停止を提言することは精神力がいったが、若者たちが血を流すことを見て見ぬ振りをするのは部外者としても黙って見ているわけにはいかなかった。
 インタビューから半年ほどして、国鉄民営化反対の戦後最大規模の同時多発ゲリラ事件が発生、指揮官はあのインタビューの最高幹部だった。

 インタビューは、結果的にスクープとなり、以後私は反体制運動評論家のような扱いを受ける。
 極真空手・大山倍達と梶原一騎の離反スキャンダルの取材から始まり、残酷取り立て王との争闘、過激派との論争、等々、気づけばエッジぎりぎりの所をよく書いてきた。
 アンダーグランドを描く男、のような印象を与えたのもこれらの著作のおかげだろう。
 もっとも、当時から女子大生のことも書いてきたし、いまでは人妻物だって書いている。
 ま、要するに私が興味を引くものなら、なんでもいいのだ。

 本棚を掘り起こせば、もっといろんな物が出てきそうだ。
 それはまた後ほど。

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This column is written by 本橋信宏.
 

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